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help リーダーに追加 RSS 「表現の自由」あれこれ

<<   作成日時 : 2005/01/16 04:41   >>

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先週は表現の自由について考える事件が3件あった。

一つは、共産党の「協力者」である男性がマンションに入り、各戸に「都議会報告」などのビラを配布した行為を「住居侵入」として地検が起訴したというもの。

住居侵入:マンションに入りビラ配布、僧侶の男起訴−−東京地検」(msn)

以前、別稿で同様の事件をとりあげたときに加えるべき感想は特にない。しかし、地検も懲りずによくやる。いよいよ住居侵入罪の言論抑圧的性格に注意が必要となってきた。
他方、別稿でとりあげた事件について、検察のいうがままに勾留を認めた地裁が批判されていたが、今回は、理由のない身柄拘束をしないということなのか、300万円が適当かよくわからないが、この点については、「改善」されたようにも思える。

住居侵入:ビラ配布で起訴の僧侶、保釈許可−−東京地裁」(msn)


次に、中国において脱北者の調査を行っていた韓国国会議員(野党)が中国において記者会見を行おうとしたのを、中国公安当局が実力で阻止したというもの。

中国:照明消して記者会見を阻止−−韓国議員団の脱北者調査で」(msn)

韓国政府は遺憾の意を表明するものの、いまのところ、本気モードではないようだが。
このところ、ナショナリズムが暴走しがちな両国だけに、今後の展開は、ひとごとだから、「おもしろい」。
しかし、そういう話とは別に、全体主義国家に言論の自由を求めても無駄であろうが、しかし言論抑圧的な国家は外国相手でも、かくも横着になれるということの例として興味深いものを感じる。
国内で批判されることのない国家機関は、外国相手でもそれが通用すると思うのであろうか。


そして、「NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」 幹部呼び指摘」(アサヒコム)というものである。
これについては、末梢的な議論におわらせてはいけないだろうと考えている。
当の番組が偏向していたかどうかは、とりあえず別の議論である。まして、「呼びつけた」か「相手が説明にきたか」どうかなぞ、問題の本質になんら関係ないとみる。

以下憶測に渉る部分があるので、その点、ご注意ねがいたい。なお、敢えて憶測を披瀝するのも、それは、可能的な「事実」についても、ご検討ねがいたいからで、以下の駄文はそれ以上に、真実性を有していると主張しているものではない。なお、全てにわたり「断定的な見解」を披瀝している訳でもないことにもご留意願いたい。(本段、1月18日加筆)

NHK職員は、たしかに伝聞の形であるけれども、しかし、相当に具体的に話している。そうであるからこそ、具体的な事実と彼の聴き知った事実との間に齟齬があっても不思議ではない。
しかし、彼が直接見聞した事実。即ち、放送予定日前日夜の局長室での異例の試写と、その結果としての44分の番組が40分に編集されたこと、などについては彼の言い分をあるていど信用して良いように思える。
つまり、NHKの内部で異例なことが行われたという点は確かなのであろう。(「NHK番組改変問題 「会長了承していた」と告発者会見」(アサヒコム) 参照)

これに対して、「NHK「中川氏と面会、放送後」 安倍氏「報道は誤り」」(アサヒコム)及び「中川氏「事前やりとりない」 番組問題」(アサヒコム)によれば、安倍代議士については事前に話はしたが、それもNHK側からであって、しかも「公平、公正」にやれといっただけで何が悪い、という論理。中川代議士については、事前じゃないから、別にいいだろう、という論理である。
そうだろうか。

NHKの幹部がとった行動が、いかにも官僚的で、わたしには、それが今回の「事件」で極めておもしろく感じられた。
つまり、こういうことである。

行政に政治家が影響力を行使しようとするときのパターンのひとつには、
まず、行政の幹部に、いわばどこからともなく「○○先生は××について関心があるらしい。」とか「△△先生は※※の件について怒っているらしい。」などという情報が入る。
同僚議員や記者経由などいろいろありうるだろう。
すると、当の幹部は上司などと相談しつつ対応方針を決める。
その上で、会いに行く理由を、適当に付けて、「説明」に赴く。
もちろん、話を切り出すのは行政の仕事である。先生に用件を切り出させてはいけない。先生に「迷惑」がかかるといけないからである。(下手すると疑獄事件になりかねない。)
先生は、ご見解を披露する。
これを受けて、行政はさらに対応方針を検討する。
事案の終了後、先生に報告して「仁義」をきっておく。

見事に今回のNHK幹部の行動パターンはこれに合っている。
いうまでもなく、圧力をかける側が露骨に圧力をかけることは少ない。あの坂田利夫似の北海道の元代議士の場合を思い起こして欲しい。
彼は役人を恫喝したことをさして、「自分は声が大きい」とうそぶいていた。
そして、今回の安倍氏や中川氏とまったく同様のいいわけをしていた。

おそらく、安倍・中川両氏は行政に影響力を行使するのと、まったく同じように影響力を行使しただけなのであろう。そこには、自分が「検閲官」になってやろうなどという大それた意識はなかったのではないか。
その意味では、首相が「「安倍氏らでなくNHKの問題」小泉首相、番組改変で」(アサヒコム)というのも、わからなくはない。感覚として、「悪い」ことをしたと思っていないのだ。
むしろ、いいたいことをいうのは代議士の特権、NHKがそれを聞いてどう処理したかという話に過ぎない、という気分なのだろう。

しかし、当人達がことの重大さを理解できていたかどうか、はこの際問題ではない。
安倍氏にNHK幹部がお伺いをたてたという事実から、NHK側が「圧力」を感じていたということが合理的に推測できるし、その上で安倍氏が「公平・公正」にといえば、その意味するところを「はき違える」ことなどありえないであろう。そして、当然そのことは安倍氏にも予見できたはずである。
また、中川氏についても、事後に報告に行くということは、NHK側がその必要性を感じていたということであろう。つまり、中川氏に「仁義」をきっておく必要性をNHKに感じさせる何かがあったということであり、そういう何かを通常は「圧力」というのであろう。

誰それが、いつ、どこで誰にあったかは、刑事裁判では問題であろうが、こういう問題では些末なことであろう。
問題は、安倍氏、中川氏が本当にNHKに対して、介入がましい態度をとらなかったのか否かということである。

くわえて、やはり最大の問題は、敢えて「検閲」に迎合しようとする姿勢がNHKにあったのではないかということである。

もちろん、ここで指摘した政治介入の問題は、与野党の別なく存在しうるし、おそらく、存在してきたのではないか。

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やじうまNow Reading!
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NHKの「戦争をどう裁くか」について
武田徹オンライン日記 http://162.teacup.com/sinopy/bbs ...続きを見る
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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
NHKの問題のことですが、安倍氏の「公正中立に」という発言は、法律に書かれている文句で、立法機関の構成員である議員が法律の遵守を促すことが、なぜ政治介入になるのかわかりません。
もし、NHKが編集をせずに放送していたら、放送法第三条の2に著しく違反していたのではないですか?
それに中川氏が放送後に会ったというのは、全然些細な問題ではありませんよ。
両議員が言ってるのは介入の根拠となるその朝日の記事に書いてる時系列について捏造があるということでしょう?
それを指摘する事がなんで言い訳と受け止められるのか理解できません。
事実を事実として伝えないことのほうが余計性質が悪いと思います。
山口県民
2005/01/16 06:27
山口県民さま
コメント拝見して一言失礼します。
番組の放送前にその番組に意見することが放送法に書かれているわけではないですよね。
編集は独立した放送局の責任によってなされるべきで、もしそれが放送法に抵触するなら、放送後に、視聴者に公開した形で検証をするほうがいいのではないですか?
闇から闇に、視聴者には何が削除されたかも分からないままコトが進んでしまうのなら、視聴者としては、その闇の中に「検閲」や「検閲まがい」があったのではないかと疑ってしまうのは無理もないことだと思えるのですが・・・。
あと、中川氏は朝日新聞の取材に対して最初に答えた内容を後で変更しているようですよ。不思議ですね。

2005/01/16 14:35
なんかどうしても政治介入があったとおっしゃりたいみたいですが安倍氏がNHK職員に会う10日も前から放送内容の修正が開始されていたみたいですよ。
http://www1.jca.apc.org/vaww-net-japan/nhk/etv2001.html
それに伝聞の形で聞いた人から批判されちゃたまったものじゃありませんね。
ほとんどいいがかりと思えるんですが・・・。
介入があったと主張するなら主張する側に立証責任があるはずですが、それが伝聞では話になりません。
少なくとも安倍氏に会う前から放送内容の修正は行われていたようなので、政治介入によって放送内容が変えられたという記事は訂正すべきだと思います。
山口県民
2005/01/16 16:42
山口県民さま
「どうしても政治介入があったと言いたい」わけではないです。
修正がいつから始まっていたかもこの際どうでもいいことです。
私が言いたいことは、放送日前にある番組について政府要人(官房副長官)が放送局に意見を言ったという事実に問題はなかったろうか? ということです。
意見は番組放送後、視聴者にも聞こえるところで言うべきだと思います。
結果的にNHKが政府要人の言葉に従ったにしても従わなかったにしても、私の疑問は変わりません。

2005/01/17 01:39
山口県民様
コメントありがとうございます。応答が遅くなりまして、まずはお詫び申し上げます。
山口県民様のご見解も理解できるのです。わたしが、安倍氏や中川氏の立場で朝日や長井氏を名誉毀損で訴えるのならば、同様の主張をするでしょう。(そこで、本稿にも加筆しておきました。わたしとしては、いわずもがなと思っていたのですが、中には「事実」として受け止められる方もみえるかも知れないから。)
しかし、長井氏や朝日が提出した問題の射程を考えるときには、もう少し問題をひろく捉える方がよいだろうと思います。安倍・中川氏がどうのという個別の問題よりも、わたしは、この「事件」が示唆する政治とメディアの関係に目を向けるべきではと思います。本件をそのよすがと考えています。
なお、わたしは朝日を弁護する義理もないし、当の番組が適当であったというつもりもありません。
nagoyan
2005/01/18 07:51
駒様
コメントありがとうございます。応答が遅くなりまして、まずはお詫び申し上げます。

>放送日前にある番組について政府要人(官房副長官)が放送局に意見を言ったという事実に問題はなかったろうか? ということです。
そうですね。わたしは、個別の事実関係にはあまり注意をはらっていないのですが、本件を「事件」と考えるのならば、わたしも、ここがキーポイントになろうかと思います。
nagoyan
2005/01/18 07:56
やじうまNow Reading様
TBありがとうございます。応答が遅くなりまして、まずはお詫び申し上げます。

御記事拝読いたしました。
拝読いたしまして、グレーゾーンをグレーゾーンといっておくべきだったな、との反省をしております。
NHKが一番だめというのは、まったくそのとおりですね。
nagoyan
2005/01/18 08:01
nagoyan様
やじうまNow Readingのroyです。初めまして。

ご丁寧な応答ありがとうございます。
批評する側としては、グレーゾーンをグレーゾーンのまま語る忍耐が必要だと常々思っています。
当事者にとっては、それは白黒つける問題であろうということを承知の上で、そこで踏ん張るからこそ「批評」が成り立つのだ、と日々駄文を書き綴る日々です。
roy
2005/01/18 13:21

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